1994 年 5 巻 1 号 p. 31-56
CO2(二酸化炭素)の排出量の大気中での蓄積は地球温暖化の主因の1つであり,各国は競ってこのCO2排出量の抑制に向かって努力中である。日本も世界第2の経済大国としてこのCO2の排出抑制は,人類的な課題への大きな貢献を意味しており,今回はとくに影響の強い電力生産部門をとりあげる。以下I-O分析を通じてCO2の排出量の直接ならびに間接的な発生量に関して,とくに石炭,石油,原子力別に分解してそのメカニズムが究明される。これは,まさに技術と経済と環境に関する三位一体型の分析がI-O分析によって見事に表現される典型的なケースとして考えられよう。